研究課題
本研究においては、刷り込み型大規模miRNAクラスターであるSfmbt2 miRNAクラスターとそのホスト遺伝子であるSfmbt2の胎盤形成における役割を明らかにすることを目的として研究を行っている。2019年度は、(1)ホスト遺伝子であるSfmbt2のタグ付きノックイン個体の作成、(2)体細胞クローンマウス胎盤におけるSfmbt2 miRNAの役割の解明、(3)Sfmbt2 miRNAのターゲット遺伝子の同定、について研究を行った。(1)前年度までに機能解析に適したSfmbt2抗体を獲得することができなかったため、タグ付きのノックイン個体の作製を試みた。CRISPR/Cas9によるゲノム編集システムを利用して個体の作製を試みたところ、前核へCas9タンパクとガイドRNA、ドナープラスミドDNAを注入することによってFounder個体を作出することに成功した。(2)マウス体細胞クローン胎盤においては、Sfmbt2 miRNAが両アレルから発現することにより発現亢進が観察される。そこで、母方アレルの遺伝子欠損マウス由来の体細胞を使用することによって、Sfmbt2 miRNAクラスターの発現を正常化し、体細胞クローンを作製した。クローンマウスの胎盤では通常重量増大(過形成)が生じるが、Sfmbt2 miRNA発現を正常化したクローン胎盤では過形成が改善することを明らかにした。(3)Sfmbt2 miRNAのターゲット遺伝子候補として、in silico解析と遺伝子発現解析により、102個の候補遺伝子をこれまでに同定している。この中で、体細胞クローン胎盤における発現変動が大きい9遺伝子について、triple-target CRISPR法を用いてノックアウト動物の作製を行い、胎盤の表現型を解析したところ、その内7個の遺伝子において胎盤形態に何らかの異常が現れた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.riken.jp/press/2020/20200501_2/index.html