研究課題
BRCA1(Breast Cancer 1)は、その変異により遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)を引き起こす癌抑制遺伝子で、近年は難治性乳がんのトリプルネガティブ乳がんとの関わりが注目されている。BRCA1はBARD1とヘテロダイマーを形成し、ユビキチン化能を持つ。これまで、BRCA1のDNA修復能が注目されてきたが、BRCA1は分裂期には紡錘体極となり、娘細胞への均等な染色体分配を担う中心体制御にも関わる。我々は、プロテオミクス解析によりBARD1に結合する分子Obg-like ATPase 1 (OLA1)を同定し、さらにOLA1に結合する分子としてReceptor for activated C kinase 1 (RACK1)を同定した。これまでOLA1が中心体複製と細胞質分裂を制御することが明らかにしてきたが、本年度はRACK1の中心体での機能の詳細を明らかにした。RACK1は、OLA1だけでなく、BRCA1、BARD1と直接結合し、BRCA1の中心体局在と中心体の複製を制御することが明らかになった。また、BRCA1の遺伝性乳がん由来の変異体で、RACK1との直接結合能が著しく減弱する2つの変異体を同定し、これらの変異体では中心体局在も減弱していた。さらに、RACK1のがん由来の変異体もBRCA1との結合能が減弱し、BRCA1の中心体局在を減弱させた。よって、BRCA1の中心体局在には、RACK1との結合が重要な働きをすることが明らかになった。さらにRACK1の過剰発現で中心小体の過剰複製が起き、発現抑制では、中心小体の複製が抑制され、RACK1が中心体の複製を制御することが明らかになった。以上より、BRCA1の中心体制御機構が明らかになり、その機能破綻が発がんに関与することが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Oncogene
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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