研究課題
癌関連遺伝子の変異や発現異常が癌の発症・進展に深く関わっていることは良く知られている。大多数の大腸癌ではWntシグナル経路の異常亢進が起こっており、癌遺伝子c-Mycが細胞の癌化に関わる最も重要なWntシグナル標的因子の一つであると考えられている。これまでの研究によって、我々はWnt/c-Myc経路の標的因子として新規lncRNA(long non-coding RNA):MYUを見出し、MYUによって発現の増えた細胞周期関連因子のCDK6が大腸がん細胞の増殖の要因になっていることを明らかにしました。一方で、MYUの発現抑制で起こる細胞増殖の抑制効果はCDK6だけでは説明できないこともわかり、CDK6以外にも重要な標的因子が存在していると考えられた。そこで、MYUに対するビオチン標識アンチセンスオリゴを用いて内在性MYUと2本鎖を形成させ、内在性のMYUを含む複合体を細胞抽出液から精製することで新たなMYU結合タンパク質を探索した。その結果、新たに27種類のMYU相互作用候補因子を同定することに成功した。その中には、核酸結合モチーフを有する蛋白質14種類が含まれていた。また、結合候補タンパク質のリストには増殖に必須でない分子も含まれていたことから、MYUは細胞増殖以外にも多様な作用を持つ可能性があると考えられた。今後、得られた因子を手掛かりにしてMYU/相互作用因子複合体が癌細胞の特性に与える役割を明らかにすることでMYUが関わる大腸癌発症機構の理解を深めることが期待できる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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EMBO Rep
巻: 20 ページ: e47052
10.15252/embr.201847052.