研究課題
前年度に引き続き、チロシンキナーゼ型受容体の非定型的活性化に関する研究を進めた。まず、ErbB4については、ERKを介するフィードバック阻害機構の解析を行った結果、他のErbB受容体と共通の機構として膜近傍領域のThr-674のリン酸化に加えて、C末端側のSer-1026のリン酸化が関与していることを実証した。また、メラノーマ患者において認められるErbB4の活性化変異体は、フィードバック機構の異常によるものである可能性を示した。また、これらの結果を論文としてまとめた。グリオブラストーマの発がん遺伝子であるEGFRvIII変異体の活性調節機構に関する研究を行った。ErbB受容体の共通のフィードバック阻害機構は、EGFRvIIIにおいても正常に認められ、Thr-669のリン酸化が関与していることがわかった。次に、現在治療に用いられている化学療法剤テモゾロミドの作用を検討した結果、p38を介したEGFR Ser-1015のリン酸化が誘導された。このリン酸化に伴い、EGFRvIIIのエンドサイトーシスが認められた。EphA2のSer-897のリン酸化による非定型的活性化に関する研究においては、浸潤・転移能の高いヒト乳がん細胞株MDA-MB-231細胞を用いて検討を行った結果、リン酸化されたEphA2がラメリポディア様構造に局在化することがわかった。これには、Rab11やそのアダプター分子Rab11FIP1が発現するリサイクリングエンドソームによる小胞輸送が関与していることを見出した。さらに、これら分子をノックダウンすることにより、細胞運動能が有意に低下することをタイムラプスイメージング解析で実証した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
in press