研究課題/領域番号 |
16H04698
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管新生 / ユビキチンリガーゼ / CUL3 / integrin beta1 / ANKFY1 / アクチンダイナミクス / KCTD10 / BTBP |
研究実績の概要 |
血管新生は、組織損傷時の修復過程や固形腫瘍増殖、さらには臓器再生に必須であり、その制御は、血管内皮細胞の増殖促進と抑制のバランス制御で成立している。申請者らは、これまでに血管新生のバランスを制御する分子を探索し、その中心的役割を担うと考えられる分子機構として、CUL3型ユビキチンリガーゼを見出した。平成28年度に同定した血管新生を制御する4種のCUL3パートナーBTBP(基質受容体)のうち、平成29年度はIntegrin beta1輸送を制御するBTBPとして同定したANKFY1、およびアクチンダイナミクスを制御するBTBPとして同定したKCTD10に焦点を絞って解析した。ヒト臍帯静脈内皮細胞HUVECでのANKFY1ノックダウンでは、integrin beta1の細胞膜表面での局在が減少し、integrin beta1が細胞内に内在化すること、integrin beta1のリサイクリングが抑制されることでエンドゾーム内に蓄積することを明らかにした。このことは、CUL3-ANKFY1軸がintegrin beta1の細胞膜輸送系を制御している可能性を強く示唆しており、CUL3-ANKFY1軸が新たな血管新生制御の標的分子になりうることを示唆してくれる。一方、HUVECにおけるKCTD10ノックダウンでは、CUL3ノックダウン時に観察される細胞伸展や管腔形成の顕著な抑制、ならびにアクチン繊維形成の増大が観察された。さらに、このCUL3-KCTD10軸の基質探索を、ヒト20Kプロテインアレイを用いてBiotin-KCTD10をプローブとしてAlphaScreenで行なった。その結果、複数の基質候補分子を検出することに成功した。また、ある特定の基質候補分子の強制発現が、CUL3またはKCTD10のノックダウンと同等の表現型を示すことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度に血管内皮細胞で作動しているCUL3-BTBP軸の見積もりと血管新生を制御するCUL3-BTBP軸の同定し、平成29年度でその標的基質同定、ならびに機能解析にまで至り、平成30年度予定の一部を前倒しに遂行することができた。その要因として、当研究センターにおける試験管内タンパク質合成やアルファスクリーンシステム構築、世界に類を見ないヒト2万タンパク質アレイを用いた基質スクリーニングが、予想以上に良好に作動したことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに同定した標的基質の機能解析をさらに推し進める。またこれまでに同定したCUL3-BTBP-基質軸の血管新生制御に向けた標的分子としての有用性を、個体レベルで検証できるところまで進めたい。
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