研究課題
血管新生は、組織損傷時の修復過程や固形腫瘍増殖、さらには臓器再生に必須であり、その制御は血管内皮細胞の増殖促進と抑制のバランス制御で成立している。申請者らは、これまでに血管新生のバランスを制御する分子を探索し、その中心的役割を担うと考えられる分子機構として、CUL3型ユビキチンリガーゼ複合体を見出した。昨年度までに同定した血管新生を制御する4種のCUL3パートナーBTBP(基質受容体)とその基質候補分子から、平成30年度ではCUL3-KCTD10軸の候補基質の評価、ならびにそれらの機能解析を進めた。培養血管内皮細胞でのCUL3及びKCTD10ノックダウンにより出現する2つの表現系(血管内皮細胞間のバリアー不安定化と細胞伸展抑制)と、基質候補分子の強制発現によって同一の表現系を示す基質候補分子として2つの GTP-結合タンパク質、RhoBとRnd2を同定した。ちなみにRhoBの強制発現は内皮細胞間のバリアーを不安定化し、Rnd2の強制発現は血管内皮細胞の伸展を抑制した。さらにCUL3-KCTD10によるRhoBのユビキチン化を解析した結果、RhoBタンパク質のLys161及びLys181を K63ポリユビキチン化することでライソゾームでの分解を誘導することを明らかにした。また、このRhoBの分解誘導は血管のバリアー形成において極めて重要であることを明らかにした。一方、Rnd2は血管内皮細胞のcortical actinの形成を誘導し、細胞のラウンド化を誘導するが、CUL3-KCTD10によるRnd2の負の制御は血管新生時における血管内皮細胞の進展とネットワーク形成に必須であることを明らかにした。現在、さらにCUL3-KCTD10によるRnd2のポリユビキチン化と分解、機能制御の分子機構に関して詳細な解析を進めているところである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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