研究課題
研究代表者らは、世界に先駆けて、単なる解糖系の終末代謝産物であると考えられていたがんから放出される乳酸が、がん周囲の異常な免疫環境を形成するのに関与する事を発見した。本研究では、骨髄系細胞やマクロファージに対する乳酸による4つのシグナル経路を解明する事を目的として研究をスタートした。すなわち、乳酸イオンによる (1) IL-23 産生依存的及び (2)非依存的IL-17産生誘導による炎症誘導経路と、乳酸とともに放出されるプロトンによる (3)免疫抑制と (4) Histone H3 のアセチル化誘導の2つのプロトンシグナル経路の分子機構を解明する。前述した目的を達成する為に、乳酸によるHistone H3のアセチル化誘導の研究も押し進めた。その結果、Histone H3のアセチル化誘導には、乳酸イオンとプロトンが異なる誘導シグナルに関わっていることを明らかにし、日本がん免疫学会でこれまでの成果とともに発表した。また、岐阜大学耳鼻咽喉科との共同研究を進め、共同研究者が、FDG-PETと腫瘍内乳酸濃度やM2マクロファージの増加との関連性について、日本がん免疫学会や日本癌学会で発表した。これらのデータは、現在、論文投稿中である。乳酸シグナルに関する論文投稿は、代表者の和歌山県立医科大学への異動に伴い遅れており、この研究をさらに2019年度につなげていきたい。さらに、論文投稿とともに、乳酸シグナルは腫瘍内の炎症誘導や抑制環境を作り出すのに関わっており、今後、乳酸シグナルをターゲットにした治療法開発を目指していきたい。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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