研究課題
コヒーシンアセチル化酵素の一つであるEsco2がどのような因子と結合するかについて、質量分析装置により網羅的に解析した。クロマチンに結合するEsco2は、Mcmの構成因子すべてと、それに加えスコアが低いもののGINS、Cdc45との結合が見えた。一方で、可溶性のEsco2(クロマチン非結合分画)では、いまのところ興味深い結合因子を捉えることが出来なかった。さらに、ChIP-seq解析からも、Esco2の局在動態は、S期進行に伴った複製Mcmの局在と強い相関が見られた。また、Esco2は、DNA複製前やG1期後期抑制剤ミモシン添加時にも、クロマチンへの結合が見られた。ヒト培養細胞では、Mcmの結合は分裂後、G1初期よりDNAに結合する。加えて、Mcmとの結合できないEsco2変異型やMcmのノックダウンによりEsco2そのものが不安定化する。以上のことは、Esco2の活性発揮には、Mcmとの結合が必須である事を示唆している。一方で、Esco2は、DNA複製後、特に分裂期にはEsco2が消失する。この消失は、複製終了後、Mcmの機能停止、クロマチンからの乖離と共に積極的に分解されていると思われ、実際、この分解にはCul4ユビキチンリガーゼ複合体により引き起こされることを示した。さらに、Cul4リガーゼの基質認識因子は、非常に多くの因子が存在することが、その中の一つ少なくともVPRBPがEsco2の分解を誘導する事を示した。
2: おおむね順調に進展している
Escoの精製タンパク、in vitroのアッセイ系が順調に調製でき、また、in vivoからEscoの相互作用因子の同定実験の確立できた。
Esco2に関しては、これまでの結果についてより詳細に解析をつめる。また、新たな条件下での相互因子の同定を行う。Esco1に関して、in vitro系に組み込み、相互作用因子の同定、コヒーシンのアセチル化機構の解析を行う。
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J Exp Med.
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10.1084/jem.20161517.