前年度は、Fukabodyの評価系の構築を目指し、ドチザメ科IgNAR遺伝子のクローニングを行った。さらにVenusタンパク質を モデルに、ドチザメの1種で愛媛県沖で入手が容易なエイラクブカのFukabody(愛媛県産サメ抗体の名称)の単離、抗体価評価に成功した。得られた抗VenusFukabodyを用いてFukabodyの評価系の構築を行った。本年度は、次世代シークエンス技術を基盤としたエイラクブカのFukabody遺伝子のクローン化技術の開発を行った。これら一連の実験から、エイラクブカFukabody技術の開発の全容と、企業化に向けた課題も明らかとなった。 III.次世代シークエンス技術を用いたFukabodyのクローン化技術の確立 1) 次世代シークエンス技術を用いたエイラクブカFukabody遺伝子のシークエンス 現時点でサメの抗体産生細胞のハイブリドーマ化は不可能であり、また抗体産生細胞マーカーの存在も未解明であるため、抗体産生細胞の濃縮は困難である。そこで本年度は近年技術革新が目覚ましい次世代シークエンス技術による可変領域Amplicon sequencingデータを用いた。上記のVenusタンパク質を免疫したエイラクブカを用いてファージライブラリーを作成し、抗原を用いたバイオパンニング前と3回までのバイオパンニング後の各ライブラリーを次世代シークエンスにより解析したところ、バイオパンニングごとに濃縮されるFukabody遺伝子が見出され、それらは抗原への結合能を有していた。この結果、次世代シークエンス技術を用いて抗原特異的エイラクブカFukabody遺伝子の単離法が確立できた。
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