研究課題
基盤研究(B)
酵素基質複合体の不安定化の詳細を解析するために、X線による結晶の損傷の影響を避けた上で、高分解能でX線結晶構造解析を行うための基盤を構築した。はじめに従来の数倍のスケールでの試料調製を可能にした。続いて題材酵素であるオロチジン一リン酸脱炭酸酵素(ODCase)の複数の結晶型のうち、解析に最も適したものを特定し、その調製法を確立した。また、結晶の吸収線量と酵素内部構造の損傷の関係を解析し、最高で0.99Å分解能のX線回折データを得た。
構造生物学
酵素基質複合体の不安定化は、理論的には全ての酵素が利用可能な機構であるにもかかわらず、実験的な解析例はほとんど無い。また、酵素と基質の間には引力が働くと考えるのが常識であり、静電的な反発が活性に関わるとの報告は存在しない。本研究はこのように、理論的に可能でありながら、これまでに報告例のない機構の解明を目指して、これに必要な試料の調製方法の確立、データ取得手法の検討、ならびにデータ取得などを行った。