ヒトが持つタンパク質の約160種には糖脂質であるGPI(グリコシルホスファチジルイノシトール)が結合しており、GPIによって細胞膜に係留されて機能している。GPIの生合成が異常になると先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症や発作性夜間ヘモグロビン尿症と言った難病を発症する。GPIの糖鎖部分の骨格は共通構造をしているが、側鎖によって多様性が生まれる。しかし側鎖の生合成機構は未解明であった。また、GPIはタンパク質に結合しないフリーの糖脂質としても存在することが知られているが、その生理的意義や病理的意義は不明であった。本研究の成果はこれらの課題に一定の進展をもたらした。
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