研究課題
鉄硫黄クラスター(Fe-S)は、酸素に脆弱なタンパク質コファクターである。Fe-S クラスターが生体内において、どこでどのように生合成されるのか、その分子機構解明は遅々として進んでいない。本課題では、細胞内をミミックした条件下での機能解析を遂行し、クラスター合成反応を試験管内でコントロールする新たな系を確立することを目指している。さらに、ダイナミックな構造変化を伴う生合成コア複合体の動きを固定・制御することで、多段階に亘る合成途上の中間体クラスターをトラップし、それらの配位構造から生合成メカニズムを解き明かす。また、無細胞クラスター合成系を利用した新規センサーFe-S タンパク質 CnfR の構造機能解析も展開する。これらの目的を達成するために、本年度は以下の項目を実施した。・コア複合体の硫黄ソーキング構造を精密化した結果、複合体内部のトンネルにポジティブな電子密度を見出した。この電子密度は弱く広がっており、硫黄の電子数を踏まえると原子自体が固定されてないことが想定された。・昨年度実施したゲルシフト法によるCnfR結合DNA決定に関して、さらに方法を精査してDNAaseを用いたプロテクションアッセイを組み合わせることで、新たな結合実験系を確立することができた。この方法を適用することにより、CnfRの機能解析が飛躍的に前進することが期待される。・本課題では、大型放射光施設SPring-8における自動測定ビームライン(BL32XU)および大阪大学蛋白研ビームライン(BL44XU)を利用した回折イメージデータ(約70TB)や数多くのCnfRゲノム結合DNA断片のシーケンスデータを得ることができた。本研究課題で得られた電子データを今後の研究に有効活用するために、ラボ内クラウドサーバーを構築した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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