研究課題
テンプレートスイッチに関わるヒト由来DNAヘリケース(HLTF、ZRANB3、PARI)の構造生物学的研究を行った。平成29年度はPARIを高純度に精製することができたが、結晶化には至らなかった。そこで平成30年度は、PARIの大量調製と結晶化に注力した。精製方法の検討と結晶化スクリーニングを繰り返し行った結果、塩を主要な沈殿剤として用いた条件で50ミクロン程度の結晶を得ることに成功した。つくば高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリーのビームラインBL-17Aにおいて、3.2 Å分解能のX線回折回折強度データを収集した。晶系は正方晶系、格子定数はa = b = 68 Å、c = 85 Åであった。既知のDNAヘリケースの構造を利用した分子置換法による構造解析を試みたが、解釈可能な電子密度を与える解を得ることはできなかった。現在は、より高分解能な回折データを収集するために、結晶化条件の最適化を行うとともに、同型置換法・異常分散法による構造解析のための試料調製と結晶化を進めている。また、メチル化処理を行った試料においても粗結晶が得られ、現在、結晶の品質を改善するために結晶化条件の検討を進めている。PARIの結晶化に成功し、回折強度データを収集できたことは、PARIの構造解析に向けた大きな進展である。また、HLTFのDNA結合ドメインであるHIRANドメインと相補的二本鎖DNAとの複合体の構造精密化を完了した(2.1 Å分解能、R/Rfree = 0.229/0.261)。この構造はHIRANドメインがテンプレートスイッチにおける鎖交換に重要な働きを担うことを示唆するものであり、現在、学会発表および原著論文の投稿準備中である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
Journal of Natural Products
巻: 82 ページ: 205~210
10.1021/acs.jnatprod.8b00541
日本結晶成長学会誌
巻: 45 ページ: n/a~
https://doi.org/10.19009/jjacg.3-45-4-05
EMBO reports
巻: 20 ページ: e47183~e47183
10.15252/embr.201847183
ACS Omega
巻: 3 ページ: 12284~12294
10.1021/acsomega.8b00778
Nature Communications
巻: 9 ページ: 2826
10.1038/s41467-018-05221-5
Acta Crystallographica Section F Structural Biology Communications
巻: 74 ページ: 214~221
10.1107/S2053230X18003242
Nucleic Acids Research
巻: 46 ページ: 11340-11356
10.1093/nar/gky943