精製したヒト由来因子によって再構成した試験管内翻訳システムについて大量反応の系を構築した。リボソームの60Sおよび40Sサブユニット、翻訳開始因子eIF3、eIF2、翻訳伸長因子eEF2、tRNAミックスについては大量に培養したHeLa細胞から効率よく精製する系を構築した。また、eIF2BやeEF1、DHX29、アミノアシルtRNA合成酵素群などについては、FreeStyle 293-Fを用いた培養システムにより、大量に効率よく精製する系を構築した。eIF1やeIF1Aなどの因子については大腸菌を用いて大量精製した。これらのヒト由来因子の大量精製系の構築により、試験管内翻訳システムの大量反応が可能となり、これをリボソームの立体構造解析へと適用することが可能となった。このシステムを用いて試料を調製し、クライオEM法を用いてヒトリボソームとHCV IRESのハイジャック後複合体の立体構造解析を進め、コンセンサスマップで4Åを切る分解能で構造決定した。これにより、解析開始時の粒子数を増やすことによって最終的には4Åを切る分解能で立体構造を決定することが可能であろうことが示された。また、ヒトリボソームとHCV IRESのハイジャック前複合体の立体構造解析を目的とした試料の調製法についても検討を重ね、その準備を完了した。生物物理学的な手法により翻訳イベントの順序を解析するための準備として、40Sサブユニットの蛍光ラベル法の検討に入った。CRISPR/Cas9システムにより、RPS25リボソームタンパク質KO株の構築をHEK293T細胞を用いて開始した。
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