研究課題
(1) EB3-GFPを安定的に発現するHela-K細胞を樹立し、N末微小管結合領域が架橋する微小管の方向性はランダムであることを明らかにした。MTCL1のゴルジ体結合領域を絞るという目標は達成することができなかったが、MTCL1ホモログであるMTCL2については、MTCL1と高い相同性を示すN末端コイルドコイル領域がゴルジ体結合に必要充分であることを明らかにすることができた。以上の結果から、MTCL1のゴルジ体結合活性にもこの領域が重要な役割を果たしているが、MTCL1の場合は、さらなる構造的要素が必要であるという可能性が示唆された。(2) 天然変性構造を取ることが予想されるMTCL1 C末微小管領域を大腸菌から精製する試みは困難を極め、それを用いたクライオ電子顕微鏡解析やTIRF電子顕微鏡解析を充分に進展させることはできなかった。ただ、細胞レベルの実験を通じて、この領域中央の4つの塩基性アミノ酸が微小管結合に重要であることが明らかとなった。さらに、脊髄小脳変性症の患者で変異しているV1745M変異が、微小管結合を損なうことなく微小管安定化活性を低下させることを発見した。また、MTCL1と高い保存性を示すMTCL2の同領域についても検討したところ、MTCL1に比べると微小管安定能がかなり低いことが明らかとなった。以上の結果から、MTCL1とMTCL2の間で異なるアミノ酸が、微小管結合とは独立した形で、微小管安定化作用に重要な働きをしていることが強く示唆された。(3) マウス小脳プルキンエ細胞の軸索起始部(AIS)が生後2日から形成され始めることを初めて明らかとするとともに、この時点ですでにMTCL11もこの部位に局在することを発見した。さらに、子宮内穿孔法を用いたMTCL1ノックダウン実験から、この時期におけるAISの形成にもMTCL1が必須であることが最終的に明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cerebellum
巻: 17 ページ: 525-530
10.15252/embj.201695630