研究課題
今年度の研究成果として、2つのトピックについて記載する。I.メラノコルチンシグナルにおけるガングリオシドの関与黄色肥満マウスKKAyにおけるGM3合成酵素(GM3S)のノックアウト(GM3S KO)では、KKAyマウスの過食と肥満,耐糖能異常およびインスリン抵抗性の著明な改善がみられた。KKAyマウスではレプチン腹腔内投与に対する視床下部弓状核ニューロンの応答性が大幅に減弱していたが、KKAy GM3S KOマウスではレプチンに対する応答性が十分保たれていた。また,マウス視床下部由来神経細胞株におけるGM3S欠損細胞では、レプチン依存のERKリン酸化が亢進していた。GM3関連ガングリオシドはレプチンとメラノコルチンシグナルにおいて重要な役割をもつことが示唆された(Inamori et al., J. Lipid Res. 2018)。II 腸管からのコレステロール吸収におけるガングリオシドの役割コレステロールは、細胞膜上にあるNPC1L1に結合すると、コレステロール依存的にNPC1L1・コレステロール複合体の細胞内移行(エンドサイトーシス)が起こり、体内にコレステロールが取り込まれる。ところが、GM3S KO細胞ではコレステロール依存的なNPC1L1のエンドサイトーシスが抑制され、細胞内コレステロール含量の増加も有為に抑制されていた。そこで、ApoE変異GM3SKOマウスを作製したところ、ApoE変異マウスが示す高コレステロール血症はApoE変異GM3SKOマウスでは顕著に改善され、腸管からのコレステロール吸収率および小腸絨毛におけるNPC1L1のエンドサイトーシスも抑制された。ガングリオシドの発現制御が高コレステロール血症に対する新規治療標的として創薬につながることが期待される(Nihei et al., J. Lipid Res. 2018)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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