現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では大きく分けて3つの課題(1. FlhFとFlhGのヌクレオチド結合スキームと構造、2. FlhFとFlhGの生化学活性の制御機構、3. 細胞極におけるFlhFの機能発現機構)を掲げている。2017年度はFlhFの精製に成功し順調に進んでいると考えている。1)と2)については、FlhFの精製系が確立したことから、GTPase活性の測定が可能になり、FlhGによるFlhF-GTPaseの活性化を見いだすことができた。精製したFlhFはゲルろ過クロマトグラフィー解析に耐えうる安定性を有し、実際にGDP存在下では単量体を、GTP存在下では二量体を形成することを明らかにすることができた。またFlhGの精製方法を見直すことで、これまで困難であったFlhGのゲルろ過クロマトグラフィー解析も可能になり、FlhGはATP, ADPのどちらの存在下でも単量体であることが示されつつある。さらに、光架橋型GTP, ATPを用いることで、FlhF, FlhGの各変異体がGTPやATPを結合するかどうか検討を始めており、次年度には変異体を用いてヌクレオチド結合スキームと細胞内局在の全貌が明らかになることが期待できる。 3)については、FlhFが極べん毛構築のどの段階で機能するのかを探るため、FlhFが基部体構成因子を極へリクルートするかどうかを検討した。その結果コレラ菌と同様、海洋性ビブリオ菌においてもFlhFがMSリング構成因子のFliFを極へリクルートすることを見出した。今後はFlhFの作用点がFliFの極移行なのか、リング形成なのかを検討していく。また、我々はGFPやVenusを融合したFlhF, FlhGを染色体から発現させる菌株を構築済みで、これらの株を用いて自然な発現量のもとでFlhFとFlhGがどのように細胞内で振舞うのか、その挙動を詳細に観察することを考えている。
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