研究課題
細菌は運動器官のべん毛を適切な本数および位置に構築することで、効率良い遊泳を可能としている。ビブリオ菌極べん毛の本数はGTPaseであるFlhFが正に、ATPaseであるFlhGが負に制御しており、その活性は細胞の極で発現している。本研究では、FlhFとFlhGのGTP/ATP加水分解サイクルと細胞内局在変化・べん毛本数制御活性の関係を、適切な変異体を用いた生化学・結晶構造解析・1分子蛍光観察により明らかにし、極べん毛が正確に1本だけ形成される仕組みを解明することを目標としている。最終年度は前年度に引き続き、1) FlhGのヌクレオチド結合スキームと生化学活性の関係、2) FlhFのMSリング構成タンパク質FliFの極局在化の2点について主に研究を進めた。1) については、ビブリオ菌細胞質中のFlhGをゲル濾過で解析し、ヌクレオチドに依存せず単量体で存在することを見出した。本成果は昨年度の精製標品を用いた結果と合わせて論文として発表した。またFlhGのC末端側には膜に作用すると考えられる両親媒性ヘリックスがあり、この領域を介して膜と作用すると考えられたが、欠失させても機能することとATPase活性には影響しないことがわかった。2) については、FliFの極局在にFlhFが必要であることがこれまでにわかっていたが、今回FliFの極局在はFlhFの量に依存すること、またGTPaseモチーフの変異により機能を失ったFlhFではFliFを極局在できないことが明らかとなった。大腸菌ではFlhFとFliFの共発現によりMSリング形成効率が顕著に高まることから、FlhFは極にFliFをリクルートし、局所濃度を高めることで細胞の極にMSリングを形成する役割を持つ可能性が示唆された。こちらも論文として発表することができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genes to Cells
巻: 25 ページ: 279-287
10.1111/gtc.12754
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巻: 10 ページ: -
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