タンパク質機能発現の分子機構に関する理論的研究

2018 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 16H04776
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 生物物理学
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 林 重彦 京都大学, 理学研究科, 教授 (70402758)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 分子シミュレーション / 光受容体タンパク質 / 酵素反応 / 光遺伝学 / QM/MM 法

研究成果の概要

タンパク質の分子機能は、局所的な酵素反応からタンパク質の大域的構造変化に至る様々な空間的・時間的スケールを持った現象が相関することにより達成される。本研究では、最近、我々により開発された、異なるスケールの現象の相関の記述を可能にする新規な分子シミュレーションの手法である QM/MM RWFE SCF 法を用いて、LOV 光受容タンパク質、及びチャネルロドプシンの光活性化過程、更に HIV プロテアーゼの酵素反応の分子機構に関する新規の知見を得ることに成功した。

自由記述の分野

理論生物物理学

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究で扱っている光受容体タンパク質や酵素では、その顕著な分子機能において、光化学反応や酵素反応などの局所的な電子状態変化と大きなタンパク質分子の構造変化のスケールの異なる現象が関わっており、従来の理論的解析が困難であった。本研究では、新規の理論的手法により、その困難を解決し、原子レベルからの分子機構の解明に成功した。これにより、神経科学分野における新規なタンパク質ツールの開発や、 HIV 感染の治療薬における薬剤耐性の問題の解決に向けての道が開かれた。