細胞が細胞外からの信号を受容する過程でなにが起こっているのかを実時間の原子レベルで明らかにすることを目的にして、シミュレーションによる研究を行った。信号受容の代表例として、MAPKパスウェイの初期段階、SOS(グアニンヌクレオチド交換因子)がGDP 型Ras(低分子GTP結合タンパク質)を結合することで、GDPを解離する過程を研究対象とした。シミュレーションの結果から、もうひとつのRasのアロステリックサイトへの結合によってSOSのRemドメインがCdc25ドメインに対して動くことで、Cdc25の一部がRasのGDP結合部位を押し開き、GDPが解離することが示された。
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