研究課題/領域番号 |
16H04781
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
吉田 知史 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (60519320)
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研究分担者 |
高稲 正勝 群馬大学, 未来先端研究機構, 助教 (20573215)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 酵母 / Rho GTPase / PP2A / ストレス応答 / 細胞周期制御 |
研究実績の概要 |
Rho GTPaseは真核生物に広く保存された細胞増殖、細胞運動、ストレス応答の制御因子であり、その活性調節異常はがんや携帯形成の異常、精神疾患の原因となることが知られている。Rho GTPaseはGTPと結合することによって活性化し何種類もの下流の標的タンパク質を活性化する。しかし細胞内外からの刺激により活性化したRhoは多種類の標的分子を全て均等に活性化するのではなく、刺激(入力シグナル)の種類に応じて特定の標的(出力シグナル)のみを選択的に活性化する。入力シグナルはRhoを活性化すると同時に出力シグナル経路を規定していると予想されるがその分子機構はよくわかっていない。我々は最近タンパク質脱リン酸化酵素PP2A-Cdc55が出芽酵母Rho1の出力シグナルを制御していることを明らかにした。しかし様々な入力シグナルがどのようにPP2A-Cdc55を制御するのかおよびPP2A-Cdc55がどのような分子機構でRho1シグナル伝達系の出力シグナルを制御するのかは未だに明らかではない。本研究では出芽酵母Rho1シグナル伝達系をモデルとし、PP2A-Cdc55を含む多様なRho1制御因子群がどのようにしてシグナルの特異性を制御しているのか遺伝学、生化学、細胞生物学を組み合わせた多方面からのアプローチで解析する。最終的な目標はRhoシグナル伝達機構の特異性が生まれる分子メカニズムの包括的な解明である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は最近タンパク質脱リン酸化酵素PP2A-Cdc55がRho1の出力シグナルを制御していることを明らかにした (Jonasson et al., JCB 2016)。さらに遺伝学的な解析からPP2A-Cdc55がRho1のGAP (GTPase-activating protein)であるLrg1とSac7の活性を調節していることを明らかにした。PP2A-Cdc55がタンパク質脱リン酸化酵素であることからRho1, Lrg1, Sac7の各々がリン酸化によって制御されている可能性を考え、現在生化学解析により仮説を検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
PP2A-Cdc55がタンパク質脱リン酸化酵素であることからRho1, Lrg1, Sac7の各々がリン酸化によって制御されている可能性を考え、現在生化学解析により仮説を検証中である。具体的にはRho1, Lrg1, Sac7のリン酸化修飾の程度を電気泳動法によるバンドシフトにより確認、および質量分析によりPP2A-Cdc55依存的なリン酸化サイトの同定を急いでいる。
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