研究実績の概要 |
低分子量GTPase Rho1には多数の標的分子が存在することが知られており、その標的分子全てを一斉に活性化するのではなく、刺激(入力シグナル)の種類に応じて特定の標的(出力シグナル)のみを選択的に活性化していると考えられている、しかしRho1がどのようにして特別な標的のみを選り好みしているのかは謎のままである。本研究では出芽酵母Rho1シグナル伝達系をモデルとしRhoシグナル伝達の特異性が生まれる分子メカニズムの解明が目標である。 これまでに我々はRho1 の新規な標的とし て PP2A を同定し (Rossio and Yoshida, J Cell Biol., 2011) さらにRho1-PP2A経路が細胞の極性成長と細胞壁の合成に必要なことを明らかにした(Jonasson et al., J Cell Biol., 2016)。さらに細胞膜ストレス応答時にRho1の細胞膜局在を維持するmTORC2及びホスファチジルセリンの役割を解明した(Hatakayama et al., J Cell Sci. 2017)。 2018年度にはこれらの研究成果をさらに発展させ、ヒトのがんを引き起こす発がん性のRhoA変異を酵母Rho1に導入することでそれらの変異がどのようにRhoシグナル特異性に異常を引き起こしているかを解析した。2018年に研究室が移動したことで研究計画に多少の遅延はあったものの2019年度末の段階でRho1変異体の解析結果を論文にまとめている段階にあり当初の計画目標はほぼ達成されたと考えている。
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