研究成果の概要 |
本研究では、細胞膜にかかる物理的パラメータである「膜張力」に着目し、細胞の形態形成と生理機能に必須の役割を担う「細胞極性」の成立を司るメカノシグナリングの分子実体の解明を目的とした。メカノシグナル因子として細胞膜直下のアクチン細胞骨格を制御するイノシトールリン脂質に着目し、上皮細胞の癌化に伴う特徴的な局在現象を見出した。具体的にはPI3キナーゼ産物であるPI(3,4,5)P3が基底膜側で顕著に増加する一方、PI(4,5)P2はアピカル面に逸脱した癌細胞膜の全周に分布した。がん抑制遺伝子PTENが、上皮細胞の癌化に伴う浸潤現象に促進的に働く可能性を示唆する知見が得られた。
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