研究課題
本年度は、リボソームがどのようにして細胞内に取り込まれるのか? という問題を明らかにするために、トリプシン処理の効果とエンドサイトシスの関与を阻害剤を用いて細胞塊形成実験を行うことで明らかにした。今後は、ニワトリ由来の幹細胞にリボソームを取り込ませ、細胞塊を形成し、これらの結果を検証する予定である。1)リボソームが取り込まれる分子メカニズム細胞内にリボソームが取り込まれる際には、トリプシンのような酵素処理が必要か検討した。蛍光ビーズ(直径50 nm)を培養中の細胞に添加しても、細胞内への取り込みはほとんど観察されないが、トリプシン処理後の細胞に蛍光ビーズを加えると細胞内への取り込みが劇的に増加した。次に、6種類のエンドサイトーシス阻害剤filipin (FP)、genistein (GS)、cytochalasinB(CC)、bafilomysinA1(BM)、concanamysinA (CM)、5-(N-ethyl-N-isopropyl)-amiloride (EA)を購入し、細胞毒性を示さない濃度レベルで準備し、リボソームと混ぜ、96 well に加えた。ヒト皮膚細胞を酵素処理し、細胞数(2 x 104)を数え、96 well に添加し、数日後に細胞塊の数を調べ、その効果を検討した。6種類のエンドサイトーシス阻害剤の存在下では、細胞塊形成が約50%阻害された。濃度を上げていくと細胞塊形成率はさらに減少するが、同時に細胞死も多く観察されることから、細胞死が観察されない濃度で実験を行った。2)我々のグループで用いてきた細胞塊形成実験の条件に従って、ニワトリ幹細胞を用いて細胞塊形成を行ったが、上手く細胞塊が形成されなかったことから、詳細なプロトコールの条件決めを行う。
3: やや遅れている
ニワトリ由来の幹細胞へのリボソームの取り込みが、予想したよりも困難で、その条件決定に時間がかかった。
京都大学・大学院理学研究科 高橋教授との共同研究により、研究の遅れを取り戻す。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 1634
10.1038/s41598-018-20057-1
http://srv02.medic.kumamoto-u.ac.jp/dept/devneuro/