研究課題
基盤研究(B)
今回我々は, エピジェネティック修飾分子として機能する種々の低分子化合物を培養下に添加することで, マウス始原生殖細胞から従来のEG細胞とは大きく異なる性質を持つ多能性幹細胞を作製することに成功した。今回の我々の結果は, 始原生殖細胞が従来の「再プログラム化」のみならず, 「多様な多能性スペクトル」を研究する上でも高い潜在性を持つことを示しており, 今後その有用なモデルになることが期待される。
発生生物学
「細胞の再プログラム化」に目を向けてみると、現在までのところ、iPS細胞への初期化プロセスにはエピジェネティック修飾の変化が大きな役割を担っていることが示唆されている。しかしこれまでに「エピジェネティック修飾の変化を誘発する」ことのみで細胞の初期化を実現した例は無く、今回のDNA脱メチル化に機能するビタミンCの添加のみによるマウス始原生殖細胞の再プログラム化という現象は、まだその多くが謎に包まれている「細胞の初期化プログラム」を理解する上で、非常に有用なモデルに成るものと期待される。