研究課題
細菌を除く、単細胞生物から多細胞生物に至るほとんどの生物は真核細胞を生命の基本単位として構成され、その分裂によって増殖している。真核細胞は細胞核の他、ミトコンドリアなど6種の細胞小器官(オルガネラ)があり生命活動を支え、細胞核と共に分裂/増殖する。しかしこれまで細胞核以外のオルガネラの分裂/増殖に関する研究はほとんど無かった。そこで申請者らは1971年以来、粘菌や単細胞で細胞分裂が同調かできる原始紅藻類(シゾンなど)を使い、複膜系のエネルギー変換器:ミトコンドリアと色素体(葉緑体)が、それぞれ独自のMDリング、PDリングを基盤としダイナミンリングなどと複合体を形成する“分裂装置(マシン)”の収縮によって分裂/増殖することを発見した。更にPD リングは糖からなるナノ繊維の束であることやその合成酵素を捉えた。最近ゲノム形態学的解析により、単膜系ペルオキシゾームにも、POD リングとダイナミンリングからなる分裂マシンを見出した。そこでそれぞれの無傷単離法の改良を行い、ゲノム情報を基盤にMD、PD、POD の各リングの組成を明らかにした。そこから共通性を解明し、進化的意義を考察した。その結果、PDとMDリングが共通の糖繊維の束であること、及びMDリングPODリングの収縮・分裂に共通のダイナミン1が関与していること、更に新たに発見した酵素(dynamo 1)により制御されていることも解った。こうしたことからミトコンドリアとペルオキシソームが共通の祖先から誕生した”姉妹”である可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Nature Communications
巻: 9 ページ: 4634
10.1038/s41467-018-07009-z