研究実績の概要 |
本研究計画においては、DNAメチル化制御機構の全貌を明らかにするために、(1)DNMT1依存的経路を制御する新規因子の探索、(2)無細胞系を用いたDNMT3依存的経路の制御機構、(3)神経変性疾患を引き起こすDNMT1変異体の機能解析、の3つの項目に取り組んだ。(項目1)応募者の発見したマルチプルモノユビキチン化 (Mol.Cell, 2017)を指標としたDNMT1結合蛋白質の探索により、ヒストンH3と同様を受けるPAF15を新たなDNA維持メチル化制御因子として同定し、その制御機構とDNA維持メチル化における役割を明らかにした。研究成果は現在投稿中である。(項目2) ツメガエルDNMT3について無細胞系を用いた解析を行ったが、DNA複製時にDNMT3がメチル化維持に機能していることを示す結果は得られなかった。また、質量分析を用いてDNA複製時のクロマチン結合蛋白質について網羅的な解析を行ったが、ここでもDNMT3は同定されなかった。(項目3)神経変性疾患 (ADCA-DN)の原因となるDNMT1変異体の機能異常について、無細胞系を用いた解析を行った。その結果、解析した3つの変異体について、ユビキチン化ヒストンH3との結合が異常に亢進していることが明らかになった。またこの表現型は、ADCA-DN変異体はDNMT1の分子間内相互作用の脱制御に由来する可能性が示された。この成果はBBRC誌に報告した (Misaki et al, BBRC, 2016)。
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