研究課題
H28年度は1年間曝露した曝露パネルおよびエアロゲル収納捕集パネルが地上帰還し、初期解析を終了した。H29年度は、二年間宇宙曝露した第二回目の曝露パネルおよび捕集パネルが帰還した。捕集パネルの初期解析を行った。第二回目の曝露パネルの解析を行い、1年間曝露と2年間曝露の比較を行った。具体的には下記の分析を行った。1. 捕集パネルの初期解析:エアロゲルの表面の観察撮影、衝突痕の位置、数、形状並びに入射方向、捕獲微粒子の個数・サイズ、衝突痕体積測定等の物理測定を行った。2.曝露パネル:初期観察、撮影の後、微生物と有機物の分析担当機関に分配し下記のサブテーマの分析をおこなった。第一サブテーマ:地球微生物が宇宙空間へ飛び出す可能性を検証するため、エアロゲル衝突痕と捕集された微粒子に対して、DNA特異的蛍光色素による染色による顕微鏡観察をおこなった。第二サブテーマ:地球微生物の宇宙空間での生存時間を推定するため、曝露微生物培養後のコロニー数を計測することから生存率を推定した。さらにDNA損傷の種類を検証した。第三サブテーマ:地球外有機物の宇宙変成。1年間および2年間曝露したアラニン薄膜試料のアミノ酸分析により、宇宙での紫外線照射量の推定を行った。アミノ酸・アミノ酸前駆体試料の加水分解後のアミノ酸分析 を行ったところ,模擬星間物質から合成した複雑態アミノ酸前駆体(CAW)は高い回収率を示した。第四サブテーマ:宇宙塵中有機物を測定した。1) 宇宙塵の衝突痕を3次元分析した。2) 抽出性有機分子分析を行った。3) 宇宙塵粒子に含まれる有機物の分子・同位体分析を行った。4) 無機分析:宇宙塵の鉱物分析を行った。 第五サブテーマ:回収した世界最高性能エアロゲルの、密度や疎水性を始めとする物性の変化の有無を分析した。 第六サブテーマ:宇宙ゴミ・宇宙塵の存在量データを得た。
2: おおむね順調に進展している
H29年度は、二年間宇宙曝露した第二回目の曝露パネルおよび捕集パネルが帰還した。捕集パネルの初期解析を予定通り完了した。第二回目の曝露パネルの解析を行い、1年間曝露と2年間曝露の比較を行った。具体的には下記の分析を行った。予定通りの進捗であり、H30年度の分析終了を目指す。1. 捕集パネルの初期解析を予定通り完了した。2.曝露パネル:初期観察、撮影の後、微生物と有機物の分析担当機関に分配し下記のサブテーマの分析をおこなった。第一サブテーマ:エアロゲル衝突痕と捕集された微粒子に対して、DNA特異的蛍光色素による染色による顕微鏡観察を2つの粒子に関しておこなった。予定通りの進捗である。第二サブテーマ:曝露微生物培養後のコロニー数を計測することから生存率を推定し、生存直線を得ることに成功した。さらにDNA損傷の種類を検証した、予定を上回る進捗である。第三サブテーマ:地球外有機物の宇宙変成を調べるため、曝露有機物試料の以下の分析を行った。1年目の試料の分析を終了した予定通りの進捗である。 第四サブテーマ:宇宙塵中有機物を測定した。2粒子に関する測定を終了した。予定通りの進捗である。 第五サブテーマ:回収した世界最高性能エアロゲルの、密度や疎水性を始めとする物性の変化の有無を分析した。予定通りの進捗である。 第六サブテーマ: 第六サブテーマ:宇宙ゴミ・宇宙塵の存在量データを得た。予定通りの進捗である。
H30年度は3年間曝露した試料が帰還予定である。そこで、第二回目の曝露パネルの解析を行い、1年間曝露と2年間曝露の比較を行う。また、捕集パネルに関しても、初期解析を行ったあと、各担当者に分配して、下記の分析を行う。第一サブテーマ:エアロゲル衝突痕と捕集された微粒子に対して、DNA特異的蛍光色素による染色を行い蛍光顕微鏡観察を行う。第二サブテーマ:地球微生物の宇宙空間での生存時間を推定する。曝露微生物培養後のコロニー数を計測することから生存率を推定する。rpoB遺伝子の塩基配列の決定を行い、曝露による突然変異率の推定を行う。第三サブテーマ:地球外有機物の宇宙変成。曝露有機物試料は1-3年宇宙曝露したアミノ酸・アミノ酸前駆体の加水分解前後の分析に加え,D/L比分析を行う。また,複雑態アミノ酸前駆体(CAW)の宇宙曝露による構造変化をXANESなどにより解析する。第四サブテーマ:宇宙塵中有機物を測定する。1) 衝突トラック分析:宇宙塵の衝突痕(トラック)を3次元分析し、その形状・体積・組成を明らかにする。2) 抽出性有機分子分析を行う。3) 宇宙塵粒子に含まれる有機物の分子・同位体分析を行う。4) 無機分析:宇宙塵の鉱物分析を行う。 第五サブテーマ:世界最高性能エアロゲル。回収したエアロゲルの、密度や疎水性を始めとする物性の変化の有無を分析する。衝突較正実験を地上実験室にて行う。 第六サブテーマ:宇宙ゴミの存在量データを得る。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 13件、 招待講演 3件)
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