研究課題
平成30年度までに解読を行なったアキノキリンソウのゲノム情報は、3種類のアセンブルが終了した。この3種類のデータに基づいて行った結果, CEGMAを用いて256種の保存的遺伝子の相同遺伝子を探索したところ,完全検出できたものが90%を占め,single-copy遺伝子を対象とするBUSCO解析では3つのリファレンスともに85%前後の検出率を記録した.次に,最もN50が長くなったゲノム配列をリファレンスとして, Illumina PE150で20xのリシークエンスを行なった。蛇紋岩型は、林床型と地質境界で隣接して分布している旭川市と勇払郡・坊主山の2ペア集団、高山型は大雪山系・赤岳の1,850m集団を解析した。蛇紋岩土壌と通常の土壌に生育する4集団のマッピング・変異検出を行った結果,蛇紋岩土壌と非蛇紋岩土壌の集団間では,Mg2+, K+, NO3-, 重金属等のイオントランスポーター周辺の遺伝的分化度が高くなっていた.また,蛇紋岩土壌の集団は早期開花性を持つことから,開花遺伝子の分化にも着目して解析を行ったところ,FTとGA2がアウトライヤーとして抽出された.こうした,自生地の環境や表現型と関係する候補遺伝子は局所環境への適応に寄与している可能性が高いことが明らかになった.まこれに対し、高山型と林床型の比較では開花遺伝子の分化度は低く、蛇紋岩型から見つかった候補遺伝子が高山型の早咲き化に関与していない可能性がある。今後、高山型集団を増やして再解析することと,ドラフトゲノムの網羅度を高めることが課題である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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