研究課題
本研究では、肢芽の特定の領域がプログラム細胞死により取り除かれることが知られている羊膜類ニワトリ胚と肢芽での細胞死が報告されていないアフリカツメガエルをはじめとする両生類の幼生を題材に、肢芽でのプログラム細胞死システムの獲得機構を明らかにすることを目的とした。この目的で、平成28 年度は、(1) ニワトリ胚の肢芽、及び (2) アフリカツメガエル幼生の肢芽において、細胞死が確認できる領域の特定を試みた。さらに、細胞死領域の中で ROS が検出される領域を特定し、細胞死領域の相関関係を調べた。複数のステージのニワトリ胚で調べたところ、すでに報告されている肢芽の細胞死領域である AER(Apical Ectodermal Ridge)、ANZ(anterior necrotic zone)、PNZ(posterior necrotic zone)、OP(opaque patch)のすべての領域で細胞死が確認され、それらの領域で高濃度の ROS も検出されることが確認できた。また、(2) アフリカツメガエルについては、すでに報告されている通り、間充織細胞の指間領域では細胞死は検出されなかった。そこで、(3) アフリカツメガエル幼生の肢芽において、四肢のプログラム細胞死経路がどこまで確立しているかを検証するために、各種マーカーを用いて比較発現解析を行った。その結果、ニワトリ胚の間充織細胞の指間領域で細胞死を制御することが知られる各種マーカー遺伝子がアフリカツメガエル幼生の肢芽で発現していることが確認された。
2: おおむね順調に進展している
本申請課題では、平成28 年度には、(1) ニワトリ胚の肢芽、及び (2) アフリカツメガエル幼生の肢芽における細胞死領域の特定を行うこと、及び (3) アフリカツメガエル幼生の肢芽において、四肢のプログラム細胞死経路がどこまで確立しているかを検証するために、各種マーカーを用いた発現解析を行うことを、研究計画として提案していた。平成28年度には、提案していた計画をすべて実行し、(1) ニワトリ胚の肢芽では、すでに報告されている肢芽の細胞死領域である AER(Apical Ectodermal Ridge)、ANZ(anterior necrotic zone)、PNZ(posterior necrotic zone)、OP(opaque patch)のすべての領域で細胞死を確認し、それらの領域で高濃度の ROS も検出されることを確認した。また、(2) アフリカツメガエル幼生の肢芽については、過去の報告通り、指間領域における細胞死は検出されないことを確認した。さらに、(3) アフリカツメガエル幼生の肢芽において、各種マーカーを用いた比較発現解析により、細胞死経路がどこまで確立されているかを検証し、用いたマーカー全てが、アフリカツメガエル幼生の肢芽の指間領域で発現していることを確認した。このように、平成28年度は、当初の計画をすべて実行し、成果を得ることができたので、概ね順調に進展していると評価した。
平成28年度は、当初の計画通りに順調に研究が進展したので、平成29年度以降も、研究計画に従って、研究を推進する予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 備考 (3件)
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