糖鎖は主に高等生物の病理学・生理学分野でこそ重要な研究対象として認識されているが、海洋の微生物生態学的研究では注目されてこなかった。本研究は、深海底における異種生物間の分子的コミュニケーション手段の研究を通じて、人類に最も蔓延する病原性微生物の誕生過程の解明、共生(感染)メカニズムを標的とした画期的な治療法の開発に益する知見を得た。深海の共生系は、共生と感染の分子機構の類似性を進化の時間軸を加味して研究する絶好のモデルであり、本研究の成果は極めて独創的かつ進化学・病理学といった幅広い研究分野への波及効果が極めて大きい。
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