研究課題/領域番号 |
16H04846
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
近藤 倫生 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30388160)
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研究分担者 |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授 (20222135)
山道 真人 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (70734804)
土畑 重人 京都大学, 農学研究科, 助教 (50714995)
京極 大助 龍谷大学, 研究部, 特別研究員(PD) (00771875)
川津 一隆 龍谷大学, 研究部, 特別研究員(PD) (20747547)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 種間競争 / 多種共存 / 時系列解析 |
研究実績の概要 |
種間関係に関わる形質が進化によって変化すると、群集動態や共存種数に影響が及ぶと考えられている。ここ10年ほどで、資源利用や対捕食者防御などの栄養関係・資源競争に直接に関わる形質の迅速な進化が群集構造形成に果たす役割について理解が進んだ。他方、種内関係に応じて適応進化する形質、例えば性選択・配偶者競争に関わる諸形質、社会性・協力行動、有性生殖等の形質が群集動態に及ぼす影響については、個別の事例的研究に留まり、その統一的な理解は遅れている。本研究では、レビュー・理論・実証研究の協働を通じて、種内関係に関わる多様な形質の群集生態学的な意味付けをおこない、その進化が群集動態・構造、さらには多種共存に及ぼす影響を統一的に理解するための理論的枠組みを構築することを目指す。 今年度は、過去の論文をレビューすることで生物の形質進化が、多種共存に及ぼす影響についての基本的なアイデアを整理した。また、アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシ競争実験系を利用することで、生物間相互作用が個体群動態を駆動する仕組みを明らかにした。アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシは幼虫期の資源競争と成虫期のセクシャルハラスメントの両方の相互作用によって、互いに個体群動態に影響を及ぼしあっていると考えられてきた。しかし、それを直接に明らかにすることは、種間相互作用それ自体を操作することが難しいことから困難であった。本研究課題では、Empirical Dynamic Modelingと呼ばれる手法を利用することで、二種の個体群動態からこれら二つの種間相互作用が群集動態や競争排除において果たす相対的な役割の評価に成功した。本研究は、現在、学術論文として投稿中である。また、発展的研究として、成虫個体間の遭遇頻度の変更を通じてセクシャルハラスメントの共同に影響を及ぼすと期待される飼育容器サイズを様々に変えた飼育実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題によって、進捗状況は大きく異なっている。レビューについては当初計画よりも進行が遅れている。平成28年度の終わりまでには、レビューまたはアイデアを提案する論文としてまとめることを計画していたが、まだ論文投稿には至っていない。他方、マメゾウムシを利用した室内実験については、順調に進捗しており、平成29年度中にも学術論文として成果の発表が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の半ばくらいまでに、共同研究者でミーティングを持ち、レビューの進み方に加速をつける。マメゾウムシ実験系については、EDMを利用した解析を進めるうちに、データの量が解析結果の質に大きか影響を及ぼしうることがわかってきた。そこで、引き続き競争実験を行うと同時に、自動撮影と画像処理により大量、高頻度のデータを手に入れる手法開発を目指す。また、捕食者の捕食行動に関する特性が被食者の共存に及ぼす絵影響を、マメゾウムシ実験系から得られたデータにEDMを適用することで明らかにしたい。
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