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2017 年度 実績報告書

イネの超撥水性を発現する分子遺伝学的基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H04857
研究機関東京大学

研究代表者

伊藤 純一  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30345186)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード植物 / イネ / 発生・分化 / 撥水性 / 表皮
研究実績の概要

葉の撥水性が低下した日本型品種由来の多数の変異体から、複数の原因遺伝子を同定した。その結果これらの原因遺伝子は全てワックスの生合成に関わる遺伝子であった。しかし、変異体の葉表面においては、ワックス沈着の減少と共に表面の微細構造も異常になっていたことから、同定された遺伝子はワックスだけでなく、表面の微細構造の形成にも関与していると考えられた。本研究で同定された遺伝子の発現を、Real-time PCRとin situ hybridizationによって調査した。Real-time PCRの結果からは、ほとんどの遺伝子が葉原基を含む若い組織で高い発現がみられたが、in situ hybridization の結果からは遺伝子間で発現パターンが異なり、機能する場所やタイミングは遺伝子によって異なることが示唆された。
接触角計を用いて、世界の栽培イネコアコレクション(WRC)と野生イネにおける撥水性の評価と、電子顕微鏡による表皮の微細構造の観察を行った。その結果、WRCの55系統では接触角に大きな違いは見られず、全ての栽培イネ系統において高い撥水性をもつことがわかった。一方、水の散布によって葉の表面における水滴の付着程度が異なる野生イネをスクリーニングし、そのうちの25系統における葉の接触角を測定した結果、野生イネには接触角が低い系統が存在することが明らかとなった。さらに、これらの葉の表面構造を観察したところ、乳頭状突起の密度が異なる系統が確認された。このことから、野生イネにおける撥水性の低下には乳頭状突起の密度変化が関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

個々の研究課題については、進捗状況にばらつきはあるが、総合的にみて順調に成果が出ている。

今後の研究の推進方策

今後も計画通りに研究を進める予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Conserved functional control, but distinct regulation of cell proliferation in rice and Arabidopsis leaves revealed by comparative analysis of GRF-INTERACTING FACTOR 1 orthologs.2018

    • 著者名/発表者名
      Shimano, S., Hibara, K., Furuya, T., Arimura, S., Tsukaya,H. and Itoh, J.I.
    • 雑誌名

      Development

      巻: 175 ページ: -

    • DOI

      10.1242/dev.159624

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rice leaf hydrophobicity and gas films are conferred by a wax synthesis gene (LGF1) and contribute to flood tolerance.2018

    • 著者名/発表者名
      Kurokawa, Y., Nagai, K., Huan, P. D., Shimazaki, K., Qu, H., Mori, Y., Toda, Y., Kuroha, T., Hayashi, N., Aiga, S., Itoh, J.-i., Yoshimura, A., Sasaki-Sekimoto, Y., Ohta, H., Shimojima, M., Malik, A. I., Pedersen, O., Colmer, T. D. and Ashikari, M.
    • 雑誌名

      New Phytologist

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/nph.15070

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Genetic Mechanisms Involved in the Formation of Root System Architecture.2018

    • 著者名/発表者名
      Kitomi, Y., Itoh, JI., Uga, Y.
    • 雑誌名

      In: Sasaki T., Ashikari M. (eds) Rice Genomics, Genetics and Breeding.

      巻: - ページ: 241-274

  • [雑誌論文] LEAF LATERAL SYMMETRY1, a member of the WUSCHEL-RELATED HOMEOBOX3 gene family, regulates lateral organ development differentially from other paralogs, NARROW LEAF2 and NARROW LEAF3 in rice.2017

    • 著者名/発表者名
      Eriko, H., Yew, C.L., Yoshikawa, T., Sato, Y., Hibara, K. and Itoh, J.I.
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 59 ページ: 376-391

    • DOI

      10.1093/pcp/pcx196

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] イネの葉における撥水性の制御機構と多様性の解析2017

    • 著者名/発表者名
      平岩飛鳥・相賀彩織・佐藤豊・伊藤純一
    • 学会等名
      日本育種学会 132回講演会
  • [学会発表] embryoless変異体を用いたイネの胚・胚乳サイズ比率制御機構の解析2017

    • 著者名/発表者名
      金川真美・松本和也・石川亮・伊藤純一・桧原健一郎
    • 学会等名
      日本育種学会 132回講演会

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公開日: 2018-12-17  

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