研究課題/領域番号 |
16H04858
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩田 洋佳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00355489)
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研究分担者 |
辻本 壽 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (50183075)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遺伝資源リソース / 遺伝的多様性 / リモートセンシング / 表現型計測 |
研究実績の概要 |
作物の遺伝資源について、ゲノムデータ・表現型データ・パスポートデータから、有望系統を効率よく検出するための手法の開発を実施するとともに、同手法を実データに適用してその有効性を確認した。また、タルホコムギ(Aegilops tauschii)の遺伝資源コレクション300系統以上について砂質圃場での栽培試験、リモートセンシングによる画像収集、画像解析にもとづく形質測定を行った。さらに、同遺伝資源コレクションについて、DArT-Seqを用いてジェノタイピングを行った。 手法構築においては、公開データ等を用いて、ゲノムデータと表現型データの関連からゲノミック予測モデルを構築し、予測モデルをもとに有望遺伝子型を探索する手法の検討を行った。また、パスポートデータから遺伝資源収集地の過去の環境データを得て、ゲノムデータと環境データの関連から環境適応に関与した可能性のある遺伝子座を抽出する手法についても検討した。 データ収集においては、屋外の試験圃場で栽培されたタルホコムギ遺伝資源コレクションについて、ドローンリモートセンシングによって互いにオーバラップした多数の画像を収集し、それら画像の解析によって草丈や植被率を計算する解析パイプラインを構築した。また、地上部付近でフレームに固定した一眼レフカメラを用いた画像撮影も行い、その画像の解析結果を、ドローンリモートセンシングに基づく画像解析結果と比較した。タルホコムギ遺伝資源コレクションのDArT-Seqの結果、全体で55,390SNPsがジェノタイピングされた。欠測率50%以上、MAF0.05以上のSNPsだけに限ると33,348SNPsのデータが得られた。確率的主成分分析を行って遺伝的背景を解析した結果、集団構造の存在が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はタルホコムギの栽培試験データおよびゲノムワイドマーカーデータの収集ができた。また、同栽培試験でドローンおよび地上付近の設置型カメラにより大量の画像データを収集し、画像解析によるバイオマス計測も可能となった。さらに、遺伝資源データの解析について、ゲノムデータ・表現型データ・パスポートデータをもとにスクリーニングする手法について検討ができた。これらデータ、手法を用いて来年度はより詳細な手法検討が可能と考えられ、進捗状況はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝資源の効率的探索法について、手法構築・効率評価を行うのに十分なデータが収集された。また、現在、2年目となるタルホコムギ遺伝資源コレクションの栽培試験を行っており、今年の前半までに、表現型データの年次反復データを収集することができる。今後は、これらデータを用いて、ゲノムデータ・表現型データ・パスポートデータ間にみられる関係のモデル化を行う。また、構築されたモデルをもとに、遺伝資源を効率的に探索するための手法について、今年度行った検討結果をベースに更に発展させる。また、遺伝資源コレクションについて既に公開されているデータなどを用いて、タルホコムギ以外の作物についてもこうした手法の有用性を検討し、手法の汎用性の評価を行う。
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