研究実績の概要 |
本研究は、セイヨウナシXニホンナシ自殖F2集団を材料にして、高密度連鎖地図の作製および有用形質に関するDNAマーカー開発を行い、今後の新品種開発に役立てることを目的として実験を行った。ゲノムのGRADS-Di解析をおこない、合計約850マーカーで染色体数に収束する17連鎖群からなる連鎖地図の作製に成功した。果実の追熟性については、セイヨウナシXニホンナシF2集団個体果実を昨年度よりもさらに供試個体系統を増やして、これまでと同様、追熟処理としてエチレン処理を行い、処理前後の果実硬度低下を指標に評価を行った。それらのデータを元に、各系統の形質データからQTL解析を試みたが、QTLは検出されなかった。まだまだ供試個体数が少ないことが原因と思われる。セイヨウナシの重要病害であるBrown spot病罹病性の遺伝子座について、第11連鎖群にマッピングされたものの、原因遺伝子の単離には、さらなる解析するマーカーが必要である。その他、開花期、成熟期、葉色、果実の糖含量等の形質の評価を行った。 また食感改善のための、育種を上で重要となる、果実リグニン含量, 組成, 結合様式についてナシ品種果実を用いて調査した。 ナシでは、モノリグノールの組成は供試したすべての品種でGuaiacyl-Syringyl (GS)リグニンタイプであった. 収穫期に品種間において果実S/G比の多様性が見られた。ニホンナシ果実はG-lignin-richタイプに対して、セイヨウナシ果実はS-lignin-richタイプであった。ナシリグニンについて、β-Aryl ether、phenylcoumaran、resinolはモノリグノール間に結合様式として検出され、ナシ果実において、β-Aryl ether が主要な結合様式と考えられた。
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