研究課題
本研究では未だ解明されていないキクのもつロゼット形成と花成能力の季節的変化について、発現遺伝子プロファイリングによる生理状態の把握を目指すとともに、申請者らが整備したキクの分子遺伝学的解析ツールを駆使して、キクの越冬機構であるロゼット形成/花成抑制機構の解明に取り組み、多年生草本植物のライフサイクル制御機構の理解に貢献することを目的としている。キクタニギク標準系統で整備を進めているゲノム配列のアノテーション解析を進め、休眠・花成関連遺伝子を多数同定した。越冬機構の解明に適した系統(NIFS-3)を供試し、整備したゲノム配列情報(Hirakawa, Sumitomo et al., 2019)をリファレンスとし、ロゼット形成時と低温処理によるロゼット打破時での次世代型シーケンサー(NGS)を用いたトランスクリプトーム解析を進めた。その結果、マイクロアレイ解析と比較して高感度にそれぞれの生育状態に特異的な発現遺伝子を抽出でき、ロゼット形成/打破の鍵となるGA生合成鍵段階を特定した。また、遺伝子発現プロファイリングからキクのロゼット形成時の生理状態を推量した結果、キクのロゼット形成は宿根草の休眠現象の一つと考えられた。また、ロゼット形成時(休眠時)の茎頂部において特異的に発現する新規TFL1/CEN様遺伝子およびSPL型転写調節因子を同定した。SPL型転写調節因子に着目し、時・空間的発現解析や一過的遺伝子発現解析および安定的過剰発現体の表現型解析を進めた結果、この遺伝子がキクの休眠時における茎伸長抑制および花成抑制に機能する可能性が示された (Higuchiら、2018年 国際学会発表)。加えて、キクタニギクにおいてCRISPR/Cas9による遺伝子破壊実験系の最適化を進めた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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DNA research
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi/10.1093/dnares/dsy048/5303208
Plant Science
巻: 283 ページ: 247-255
https://doi.org/10.1016/j.plantsci.2019.01.023