研究課題/領域番号 |
16H04878
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研究機関 | 公益財団法人かずさDNA研究所 |
研究代表者 |
白澤 健太 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 主任研究員 (60527026)
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研究分担者 |
薬師寺 博 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, ユニット長 (00355364)
池上 秀利 福岡県農林業総合試験場, 豊前分場, 研究員 (40502414)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イチジク / 抵抗性 / 雌雄性 |
研究実績の概要 |
イチジクのゲノム概要配列を参照配列としてイチジクとイヌビワの種間戻し交雑集団(BC2集団)のddRAD-Seq分析を行いSNP情報を得、株枯真性抵抗性の有無とのアソシエーション解析を行った。これにより、株枯真性抵抗性に強いアソシエーションを示すSNPを見出し、これが昨年度に実施したBC1集団を用いたアソシエーション解析の結果と一致することを確認した。得られたSNPに基づいて株枯真性抵抗性の選抜マーカーを開発し、このマーカーの分析結果が株枯真性抵抗性の有無と一致することを確認した。また、株枯真性抵抗性遺伝子の同定に向けて株枯真性抵抗性系統と感受性系統のそれぞれのバルクサンプルから全ゲノムリシークエンス分析データを得た。さらに、菌株の接種前後の植物体からRNAを抽出しトランスクリプトーム分析データを取得した。イチジクの雌雄性に関する形質転換体を作出するための形質転換用ベクターを作成した。 本研究成果から、株枯病真性抵抗性遺伝子はイヌビワにおいて機能しているにも関わらず、栽培イチジクにおいてなぜ機能していないのか、どのような経緯により抵抗性機能を失ったのかについて、イチジク属のゲノム進化上の知見と考察が得られることも期待される。高等植物の性決定については未解明の部分が多いが、イチジクの性決定要因を明らかすることで植物の性決定機構の解明に新たな知見が得られるようになる。そこでイチジクのゲノム概要配列の高精度化とイヌビワのゲノム概要配列の構築に向けて、先進ゲノム支援の援助を受けて配列データを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
株枯真性抵抗性の有無を判別できるDNAマーカーが開発でき、株枯真性抵抗性遺伝子の同定に向けたデータを取得した。また、イチジクの雌雄性に関する形質転換体を作成するために必要な形質転換ベクターを作成した。先進ゲノム支援の援助を受けて、発展研究の基盤構築に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、イヌビワに由来する株枯真性抵抗性遺伝子の同定、および雌雄性に関する形質転換体の作出を目的として研究を実施する。 株枯真性抵抗性遺伝子の同定のためにイヌビワのゲノム概要配列の早期決定を目指す。配列を決定すれば、過去2年間に取得したddRAD-Seqのデータ解析を速やかに実行する。合わせて全ゲノムリシークエンス解析データとトランスクリプトーム解析データの解析を実施し、イヌビワのゲノムにおける株枯真性抵抗性遺伝子の候補を見出す。また、前年度までに形質評価が未実施だった種間雑種BC2実生群について選抜マーカーの有効性を確認する。 イチジクのゲノム概要配列を高精度化し雌雄性決定遺伝子を確認するとともに、形質転換体の開発を目指す。
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