• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

キュウリモザイクウイルスサテライトRNAによるタバコ黄化誘導機構の全容解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H04880
研究機関北海道大学

研究代表者

増田 税  北海道大学, 農学研究院, 教授 (60281854)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードキュウリモザイクウイルス / サテライトRNA / 光合成 / サイレンシング
研究実績の概要

キュウリモザイウイルス(CMV)のY-sat RNA (Y-sat)がCMVに感染したタバコを黄化させるメカニズムを宿主のサイレンシングとの関わりにおいて解析してきた。昨年度はY-satのターゲットになっているChlI遺伝子がクロロフィル合成に関与するのみではなく、気孔においてアブシジン酸(ABA)のリセプターとして機能することに注目した。すなわち、Y-satが増殖すると葉が黄化するのみではなく、気孔の開閉が不全となると予想される。しかし、実際は、サリチル酸の蓄積レベルを上昇させて気孔を閉じていることが判明した。この発見はY-satの増殖によって植物が乾燥ストレスに特段弱くなるデメリットが生じていないことを示唆する。ならば、葉の黄化が植物の光合成にどれほどの影響を及ぼしているのか、光合成速度を光の強さに応じて測定したところ、弱光下では健全植物やCMV感染植物に比較して、ほぼ同等であることを観察した。また、強光下であっても健全植物の80%程度の光合成を維持できることを観察し、Y-satの増殖はそれほど感染植物に悪影響を及ぼしていないのではと思うに至った。これらの観察から、以下のような2つの仮説を構築した。①「Y-satは生き残り戦略としてあえてタバコを黄化させており、黄化自体はそれほどタバコにダメージを与えていない」、②「黄化したタバコにはアブラムシが好んで飛来し、Y-satを周囲の植物に伝搬する」。この仮説の実証をするために、アブラムシがY-sat感染タバコに誘引されるか調べることにし、緑色タバコと黄化したタバコの間にアブラムシを放って嗜好性を観察した。その結果、アブラムシは確かにY-sat感染植物に好んで飛来することが明らかになった。Y-satはタバコを黄化させることによって、アブラムシによる伝搬を効率化させており、これは、ウイルスの恐るべき生き残り戦略であると結論した。

現在までの達成度 (段落)

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Transcriptional silencing of 35S driven-transgene is differentially determined depending on promoter methylation heterogeneity at specific cytosines in both plus-and minus-sense strands.2019

    • 著者名/発表者名
      Matsunaga, W., Shimura, H., Shirakawa, S., Isoda, R., Inukai, T., Matsumura, T., and Masuta, C.
    • 雑誌名

      BMC Plant Biology

      巻: 19 ページ: 24

    • DOI

      10.1186/s12870-019-1628-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rapid transient protein production by the coat protein-deficient cucumber mosaic virus vector: non-packaged CMV system, NoPaCS.2018

    • 著者名/発表者名
      Fukuzawa N., Masuta, C., and Matsumura, T.
    • 雑誌名

      Plant Cell Reports

      巻: 37 ページ: 1513-1522

    • DOI

      10.1007/s00299-018-2322-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Allexiviruses may have acquired insert sequences between the CP and CRP genes to change the translation reinitiation strategy of CR.2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, N, Shimura, H., and Masuta, C.
    • 雑誌名

      Archives of Virology

      巻: 163 ページ: 1419-1427

    • DOI

      10.1007/s00705-018-3749-2

    • 査読あり
  • [学会発表] A technique to reduce DNA methylation in a sequence-specific manner by using a ribozyme-expressing cucumber mosaic virus vector.2018

    • 著者名/発表者名
      Wataru Matsunaga, Reika Isoda, Tsuyoshi Inukai, Takeshi Matsumura and Chikara Masuta
    • 学会等名
      International Congress of Plant Pathology 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] ウイルスベクターから供給したリボザイムは配列特異的に脱メチル化を誘導する2018

    • 著者名/発表者名
      礒田玲華,松永航,白川千里,犬飼剛,松村健,増田税
    • 学会等名
      第60回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] タマネギ萎縮ウイルス日本分離株のHC-Proタンパク質はN末端を欠失している2018

    • 著者名/発表者名
      青木那奈,高橋春南,礒田玲華,増田税
    • 学会等名
      日本植物病理学会北海道部会
  • [図書] Metagenomic analyses of the viruses detected in mycorrhizal funji and their host orchid. In Methods Mol Biol.2018

    • 著者名/発表者名
      Methods Mol Biol. 2018;1746:161-172. doi: 10.1007/978-1-4939-7683-6_12. Metagenomic Analyses of the Viruses Detected in Mycorrhizal Fungi and Their Host Orchid. Shimura H1, Masuta C2, Koda Y2.
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      The Humana Press Inc.
  • [産業財産権] 植物における標的DNAのメチル化を抑制する方法2018

    • 発明者名
      増田税・犬飼剛・松永航・磯田玲華・松村健・厚見剛
    • 権利者名
      増田税・犬飼剛・松永航・磯田玲華・松村健・厚見剛
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2018-139316

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi