研究課題
A-1) BMV-M2系統から得られた全ての適応変異体ウイルスで共通して3a移行タンパク質が高発現していた。今年度は、3aを発現する形質転換植物を作製し調査した結果、ウイルス骨格からでなくとも3aの高発現・高蓄積がBMV/シロイヌナズナ間の非宿主抵抗性を乗り越える戦略のひとつであることが示された。また、野生型BMVの元々の宿主であるキノアやササゲに、適応変異体BMVを接種し、感染性を調べた結果、今回得られた3aの高発現適応変異体はむしろ自然宿主においては感染性が低く、非宿主と宿主への感染には3aの発現に関してトレードオフの関係があることが明らかとなった。B-3) 初年度にNLR型のBMV抵抗性遺伝子RBM1が単離された。2年目は、World Rice Collectionの様々なイネ品種を用いてRBM1の相同遺伝子の解析とBMVに対する感受性試験を行った結果、RBM1以外の新規な抵抗性遺伝子が存在することが強く示唆された。今年度は岩手生物工学研究センターとの共同研究によって、イネ2品種間の組み換え自殖集団のBMV感受性試験を行った結果、RBM1と異なる染色体に新規な抵抗性遺伝子が存在することが強く示唆された。B-4) 酵母2ハイブリッド法によって抵抗性遺伝子産物全長あるいは部分的な機能ドメインと全4種のBMVタンパク質の相互作用を調査した結果、いずれの組合せでも相互作用は認められなかった。一方、N. benthamianaにおけるAgroinfiltration法の利用によってNB-LRRタンパク質と共発現させた際に細胞死を誘導するウイルス因子の同定を試みた結果、3a移行タンパク質が見出された。これら2つの実験系の結果から、RBM1は3a移行タンパク質が機能する際に相互作用する植物因子の状態をモニターして抵抗性を発動している可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Virus Research
巻: 265 ページ: 138~142
https://doi.org/10.1016/j.virusres.2019.03.009
Plant Pathology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
https://doi.org/10.1111/ppa.13006