研究課題/領域番号 |
16H04883
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中屋敷 均 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50252804)
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研究分担者 |
竹田 篤史 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (60560779)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / いもち病菌 / ヒストンメチル化 |
研究実績の概要 |
1.MoSETl上流因子の探索(担当:神戸大学) いもち病菌は外界からのシグナルを受容して、感染行動を開始し、MoSETlによる遺伝子発現制御を受け、感染器官の形成や侵入行動を可能とする。MoSE1toMoSET1の上流因子の候補としていもち病菌の付着器形成に重要な働きをすることが分かっているPmk1との関連を調査する目的で、酵母ツーハイブリットアッセイを行った。その結果、弱いながらも相互作用を示唆するデータが得られた。一般的にリン酸化酵素は対象をリン酸化すると複合体から離脱することが知られており、今後、キナーゼの活性部位の変異体を作製し、それを用いた解析を進めたい。また、未知の上流因子を探索するためにMoSET1にFLAGタグをつけたコンストラクトを作製した。
2.MoSETlの下流遺伝子制御カスケードの解明(担当:神戸大学、立命館大学) これまで当研究室におけるRNA-seqおよびChlP-seq解析の結果、感染器官形成時にH3K4のメチル化レベルが変動する遺伝子が約400個同定された。これらの中の転写因子およびタンパク質リン酸化酵素に着目し、順次遺伝子破壊株を作製し、その機能解析を行っている。本年度は転写因子に着目して解析を行ったが、MGG_04699およびMGG_00494の破壊株で、胞子産生能の低下が認められ、病原性も大きく低下していた。また、MGG_00494では、胞子産生能の低下があったが、病原性は野生株と変わらず、菌糸成長にやや遅延が見られた。胞子生産能の低下、病原性の低下、菌糸成長の低下などは、MoSET1の破壊株で見られるものであり、これらの転写因子は、MoSET1の下流因子として有力な候補であると考えている。また、CRISPR/CASシステムを用いた解析は、少しずつ変異体が取れ始めており、変異体の解析を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MoSET1の上流因子、下流因子とも有力な候補が得られており、今後の進展が期待できるから。
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今後の研究の推進方策 |
MoSET1の上流因子としては、FLAGタグをつけたMoSET1を用いた共免疫沈降法により、未知の因子の同定に取り組みたい。また、下流因子に関しては、転移因子に加えて、リン酸化酵素遺伝子をターゲットにした調査を行う予定である。、CRISPR/CASシステムを用いた解析は、意図した通りに変異が起きているか、慎重に調査してから、大規模な解析に移行したい。
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