研究実績の概要 |
1, L-gluconate醗酵生産系の確立 L-gluconate生産に用いるDniiolM, AhyiolN, lgnH遺伝子を、Pgrac100プロモーターの下流でプラスミド上から発現させたところ、各酵素の生産はWestern blottingで確認できるが、その量は非常に少ないものであった。そこで、各遺伝子の発現量を増大させるため、DniiolMを例としてプロモーターの検討を行った。その結果、枯草菌由来強力プロモーターのPrpsOを用いた方が発現量が高く、また野生型遺伝子と枯草菌コドン使用頻度に最適化した遺伝子では、後者の方が発現量が高くなることが明らかになった。今後は"PrpsO-コドン最適化遺伝子"の組み合わせで検討することとした。 2, 枯草菌宿主の改良 iolG以降のinositol代謝遺伝子を欠損させた枯草菌に対して、inositol取り込みに関わるiolTを高発現させる株を作製した。 3, 酵素改変によるL-gluconate reductaseの創製 決定したLgdAの立体構造を元に,活性中心残基(K106, D191, H195)及びいくつかの基質結合に関与する残基を同定した。3つの活性中心残基をいずれもAlaに置換した変異体は、酵素活性を失ったことから、これらの残基が酵素活性に重要であることが明らかになった。また基質結合に関与する残基のうち本酵素に特徴的なR178, H318を選択し、いずれもAlaに置換したところ、R178Aではscyllo-inositolに対してよりもL-glucoseに対するdehydrogenase活性が強くなることが明らかになった。またH318Aでは、scyllo-inositolに対するKm値が約1/100に低下することが見いだされた。
|