研究実績の概要 |
1, L-gluconate醗酵生産系の確立 前年度の解析から、枯草菌内での該当遺伝子の発現にはPrpsOと枯草菌コドン使用頻度に最適化した遺伝子(Bsと表記)の組み合わせが適していることが判明したので、まず枯草菌ゲノム上amyE locusに導入したPrpsO-iolGの下流にオペロンを形成するようにiolM(Bs)を導入したが、同遺伝子の発現は確認できなかった。そこでpHT255のPgrac100の下流にiolM(Bs), iolN(Bs), lgnH(Bs)をオペロン状に導入したプラスミドを作製し、上記枯草菌株に導入した。この株をmyo-inositolを添加して培養し、LC-MSで培養上清を分析したが、変換産物は検出されなかった。同株の細胞抽出液を用いて検討したところ、IolG反応産物のinosose、IolM(Bs)反応産物のdiketo-inositolの検出に成功したが、IolN(Bs)以降の反応産物である5-keto-L-gluconate、L-gluconateは検出されなかった。iolN, lgnHの発現量に問題があると考えられる。導入遺伝子の発現確認及び培養条件の検討を今後行っていきたい。 2, 枯草菌宿主の改良 1,の検討が想定以上に遅れたため、枯草菌宿主のさらなる改良には至らなかった。 3, 酵素改変によるL-gluconate reductaseの創製 前年度に取得したLgdAの基質結合部位の変異体R178Aについて詳細な解析を行い、同変異体がscyllo-及びmyo-inositolに対する活性を消失しているがL-glucoseに対する活性は保持していることを明らかにした。同変異体の結晶構造解析から、R178A変異により活性中心を構成するD191の側鎖の向きが変わっていることが判明した。
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