研究実績の概要 |
放線菌Streptomyces rochei 7434AN4株は、3つの線状プラスミドpSLA2-L, -M, -Sをもち、2つのポリケチド抗生物質ランカサイジン(LC)・ランカマイシン(LM)を生産する。本研究では、二次代謝生合成、形態分化、シグナル分子制御の統合深化を目指しており、平成28年度は以下の3課題を遂行した。
[課題1]アゾキシアルケン化合物の生合成マシナリーの先導的解明【二次代謝生合成】; S. rochei染色体にコードされたアゾキシアルケン化合物KA57-A生合成遺伝子クラスターの網羅的遺伝子破壊および代謝産物解析を行った。短鎖脂肪族アミンの酸化酵素およびキナーゼ遺伝子が、本化合物の生合成に必須であることを明らかにした。 [課題2]染色体環状化株における欠失領域の特定【形態分化】; YN-P7, YN-P145株における染色体の環状化領域特定のため、Illumina HiSeq 2000 次世代シークエンサー解析を行った。両株とも染色体末端の配列は欠失しており、その欠失領域は野生株7434NA4株と比較して0.98 Mb, 1.51 Mbであることが分かった。今回の解析では両端融合配列の取得には至らず、PCR walkingによる決定を目指す。 [課題3]シグナル分子制御シグナルカスケードの網羅的解析【シグナル分子制御】; TetR型リプレッサー遺伝子srrBの機能解析を目指し、各種遺伝子破壊株のLC, LM生産量を調べた。その結果、srrB変異によりLCは11倍、LMは4倍の生産量増大が認められた。
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