研究課題
コーン油の摂取は交感神経を介して肩甲骨間褐色脂肪組織の熱産生を向上させ、エネルギー消費を増加させることがこれまで明らかとなっている。交感神経は脳により制御されているため、コーン油の摂取が脳、特に視床下部のエネルギー代謝に関与する神経に与える影響を検討した。その結果、コーン油摂取は摂食促進作用を持つAgRP (agouti related peptide)のmRNA発現量を減少させることが明らかとなった。AgRPは肩甲骨間褐色脂肪組織に接続する交感神経活動を抑制する作用およびUCP1発現量を抑制する作用を持つことからコーン油摂取によるエネルギー消費増加の一部にAgRP発現の低下が関与することが明らかとなった。コーン油摂取はエネルギー摂取を増加させる一方で、コルチコステロン投与を行うと顕著な体重増加を引き起こすことをこれまで明らかとしてきた。コーン油摂取が肩甲骨間褐色脂肪組織に強い影響を与えるため、コルチコステロンも同様に褐色脂肪組織に作用しているという仮説を立て検討を行った。コーン油摂取は肩甲骨間褐色脂肪組織のUCP1 mRNA発現を大きく増大させたがコルチコステロンはコーン油摂取時においてもUCP1発現量を大きく低下させることが明らかとなった。さらにコルチコステロン投与はコーン油の摂取量を増大させ、視床下部におけるAgRP発現量を顕著に増加させた。以上の検討より、コルチコステロンは褐色脂肪組織のUCP1発現を抑制することにより、エネルギー消費を減少させ、肥満を誘導することが明らかとなった。さらにストレスは油脂の嗜好性を増大させ過食を招くことが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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