研究課題/領域番号 |
16H04937
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
鵜川 信 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30582738)
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研究分担者 |
稲垣 善之 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00353590)
福澤 加里部 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (10456824)
舘野 隆之輔 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (60390712)
木庭 啓介 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90311745)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 窒素循環 / 窒素安定同位体 / 外生菌根 / 窒素無機化速度 / 細根分布 |
研究実績の概要 |
土壌-樹木間の窒素安定同位体比の変化が3つの因子(外生菌根菌による同位体分別、土壌中に偏在する窒素安定同位体の不均一な吸収、窒素無機化プロセスでの同位体分別)によって引き起こされることに着目し、この関係に基づく統計モデルを構築することで、樹木が吸収する窒素量のうち外生菌根菌が供給する窒素量の割合を簡易的かつ高精度に推定する手法を開発することを目的とする。平成30年度に実施を計画していた以下の研究項目(A)と(C)について、一定の進展を得た。 (A) 土壌-樹木間の窒素安定同位体比の変化およびδ15N決定因子における森林生態系内および森林生態系間の変異の理解:これまで調査を行った全国5カ所に加え、冷温帯広葉樹林(岩手大学御明神演習林)において、対象樹種の葉および個体周辺の土壌の窒素安定同位体比の分析を行い、森林生態系内および森林生態系間の変異を明らかにした。また、暖温帯常緑広葉樹林(鹿児島大学高隈演習林)と冷温帯針広混交林(北海道大学中川研究林)において、細根の垂直分布および外生菌根の形成率を調べ、森林生態系内および森林生態系間の変異を明らかにした。 (C) 土壌-樹木間の窒素安定同位体比の変化をδ15N決定因子によって説明するモデルの構築とそれに基づく外生菌根菌の窒素供給率の推定:上記(A)で収集されたデータを用いて、土壌-樹木間の窒素安定同位体比の変化における森林生態系内および森林生態系間の変異を解析し、それらの解析結果を踏まえた統計モデルの構築を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定していた2つの研究項目を進めることができた。外生菌根を形成する樹種の生葉の窒素安定同位体比が既往研究とは逆の結果を示し、予想外の成果を得た。この成果を含め、一定の進展を確保できた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は研究の取りまとめを念頭に、以下の2項目について研究を推進する。 (C) 土壌-樹木間の窒素安定同位体比の変化をδ15N決定因子によって説明するモデルの構築とそれに基づく外生菌根菌の窒素供給率の推定:これまでに収集したデータ(樹木と土壌の窒素安定同位体比、土壌層位別の細根量、外生菌根形成率、形態別窒素の窒素安定同位体比)を用いて、土壌-樹木間の窒素安定同位体比の変化をδ15N決定因子から説明する統計モデルの構築を行う。さらに追加で収集すべきデータが見つかった場合は、適宜該当データの収集を行う。 (D) 本研究の手法で推定した外生菌根菌の窒素供給率と別途窒素フローのプロセスモデルから推定した外生菌根菌の窒素供給率の比較検討:これまでに収集したデータを用いて、森林生態系における窒素循環のプロセスモデルのキャリブレーションを行い、窒素フローの推定値を上記(C)で得られた推定値と比較する。
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