研究実績の概要 |
石川県農林総合研究センター林業試験場内(石川県白山市)の森林理水試験地において、水フラックスの観測および物質動態観測を通年行った。本年度は、2013 年より開始している観測を継続し、観測箇所、項目の追加や新設を検討・整備した。 水フラックス観測は量水・気象観測施設による流域の高精度な水収支観測を行い、流域内での樹冠遮断量の観測および冬期は積雪調査を行った。物質動態観測は、林外雨(降水、降雪)、林内雨(雪)、堆積有機物層通過水(テンションフリーライシメーター)、土壌水(5, 25, 55, 90 cm)、地下水、流出水の試料を月1~2 回程度(但し積雪・融雪期は高頻度)採取した。採取した試料はpH, EC, 主要無機成分、微量元素、溶存有機態窒素、溶存有機態炭素分析を行った。また、大気汚染物質の起源の指標として安定同位体組成の測定を行った。降水および土壌水中の硝酸の三酸素同位体組成(Δ17O)値には季節変動性が見られたが、地下水および流出水は概ね一定の値を示した。 本年度は積雪期前に林内に地温センサーを4深度(0, 5, 25, 50 cm)に埋設した。また、12~3月の期間において流域末端の量水堰に自動採水装置を設置し高頻度で流出水試料の採取を行った。2016-2017年の積雪は12月中の積雪量が非常に少なく、林内の積雪継続期間も短期間であった。1月下旬の積雪調査では林外で60cm程度、林内では50cm程度であった。本年度の積雪期間の採取試料の分析および解析を早急に行い、2017-2018年の積雪期間の観測の最適化を進める。
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