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2017 年度 実績報告書

高解像度観測に基づく混合域動物プランクトン群集遷移過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H04959
研究機関東京大学

研究代表者

高橋 一生  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00301581)

研究分担者 筧 茂穂  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 東北区水産研究所, 主任研究員 (20371792)
岡崎 雄二  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 東北区水産研究所, 主任研究員 (90392901)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードプランクトン / 環境変動 / 物質循環
研究実績の概要

水産研究教育機構東北区水産研究所の研究船若鷹丸に乗船し、春季に増殖した植物プランクトンの減少過程すなわちポストブルーム期の観測を5月末に行った。道東沖親潮域の三つの観測点において昼夜観測を行い、採水、プランクトンネット観測、ビデオプランクトンレコーダー観測、および船上実験を実施した。当初目的とした浮遊性被嚢類のブルームは観測できなかったものの、春季に優占する大型カイアシ類の鉛直分布構造および水柱内における行動様式をVPR観測により捉えることに成功した。この時期に出現するカイアシ類は種毎に分布深度が明瞭に異なり、比較的小型の2種類は表層20m以浅に、大型の2種は20-30mのクロロフィル極大層に分布していることが明らかとなった。また、クロロフィル極大層は密度躍層の上部に形成されていること、アグリゲートとして大型化した粒子のうちカイアシ類の糞粒が付着したものが比重を高め混合層より下層へ輸送されている様子が捉えられた。同航海では他の研究者によりカイアシ類の餌料環境として重要な微小動物プランクトンの動態に関して様々なデータが取得されており、これらのデータをビデオプランクトンレコーダーと併せて解析することにより、バラストとしてのカイアシ類糞粒の重要性を解析するとともに、将来的には春季ブルーム生産物が混合層以深への輸送される過程を定量的に見積もることで、被嚢類ブルーム発生時との物質循環過程の違いを明らかにする予定である。
また混合域における浮遊性被嚢類の分布解析の比較とするため、出現パターンのが多く出現するとされるカリフォルニア東岸海域で観測を行った。期待されたサルパの濃密集群は採集されなかったが、代わって群体性の浮遊性被嚢類であるヒカリボヤが多く採集された。試料については現在解析を進めており、環境要因との比較からその出現機構を明らかにする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたサルパ類のブルームは捉えることが出来なかったが、その他の点について貴重なデータセットを取得することに成功した。

今後の研究の推進方策

被嚢類ブルームをビデオプランクトンレコーダーで捉えるために、過去試料の解析を進め出現する海域と海洋条件の絞り込みを進める必要がある。さらにモデル等を利用した予測データを駆使して航海前の観測域の検討を念入りに行うことが必要と考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Estimating surface water mixing ratios using salinity and potential alkalinity in the Kuroshio-Oyashio mixed water regions2017

    • 著者名/発表者名
      Kakehi Shigeho、Ito Shin-ichi、Wagawa Taku
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Oceans

      巻: 122 ページ: 1927~1942

    • DOI

      10.1002/2016JC012268

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phytoplankton community structure, as derived from pigment signatures, in the Kuroshio Extension and adjacent regions in winter and spring2017

    • 著者名/発表者名
      Nishibe Yuta、Takahashi Kazutaka、Sato Mitsuhide、Kodama Taketoshi、Kakehi Shigeho、Saito Hiroaki、Furuya Ken
    • 雑誌名

      Journal of Oceanography

      巻: 73 ページ: 463~478

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s10872-017-0415-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Diel changes of food sources and their contributions to nutrition of Orientomysis mitsukurii in a sandy shore environment2017

    • 著者名/発表者名
      Takahashi K、Kuwata A、Suzuki T、Toda T、Ide K
    • 雑誌名

      Aquatic Biology

      巻: 26 ページ: 229~244

    • DOI

      https://doi.org/10.3354/ab00690

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ヴィジュアルプランクトンレコーダー(VPR)を用いたウミタル類個体群動態の観察: とくに捕食寄生性カイアシ類との関係について2017

    • 著者名/発表者名
      高橋一生
    • 雑誌名

      日本プランクトン学会誌

      巻: 64 ページ: 148-152

  • [学会発表] VPRを用いたウミタル類個体群動態の観察:とくに捕食寄生性カイアシ類との関係について2017

    • 著者名/発表者名
      高橋一生
    • 学会等名
      2017年度日本プランクトン学会春季シンポジウム「ゼラチン質動物プランクトンの世界」
    • 招待講演
  • [学会発表] 混合水域における近年のマイワシ稚魚の食性2017

    • 著者名/発表者名
      岡崎雄二・田所和明・上村泰洋・日高清隆
    • 学会等名
      水産海洋学会
  • [学会発表] 飼育環境下における浮遊性ヤムシSagitta nagaeの摂餌および成長2017

    • 著者名/発表者名
      大竹詩織・下出信次・高橋一生
    • 学会等名
      日本海洋学会2017年秋季大会

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公開日: 2018-12-17  

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