研究課題
最終年度である本年度は、昨年度までに得られたセジメントトラップ中の有殻翼足類の殻密度とpHデータの解析、そして殻密度計測手法の精度向上および確立を行った。本科研費において2017年に購入し、係留を行ったハイブリッドpHセンサ(HPHS)は、2018年のMR 18-04航海において無事に回収された。HPHSは有光層最下部の水深150mに係留され、年間を通して順調に稼働していた。比色法によって補正された150mの現場pH変化は7.45から7.60の間を変動していた。年間の大半がpH7.45-7.50の間を示し、短期間だけ上昇するという傾向が見られた。気候値に観察される混合層内の季節変化に連動したpH変化とはなっておらず、混合層下部のpH変化が想定よりも複雑なしくみであることを示している。現在、捕集できていた数期間のみのサンプルを計測中である。殻密度計測を精密に実施するために、外部標準試料によるキャリブレーションが必要となるため、異なる密度を持つ較正基準試料(ファントム)を作成する手法開発を行った。試行錯誤の末、人工炭酸塩粒子を異なる圧力でプレスし、空隙率のことなる粒子を作成することに成功した。さらにこれに流動性の高いウレタン樹脂を浸潤させ固化させることで、150ミクロン四方の均質なファントムを複数種類製造することに成功した。これらファントムの密度のばらつきは最大約2.0%であり均質性が確かめられた。計算されるこれらの密度と、MXCTで計測されるCT値を比較すると、極めて良い直線関係を得た。その式は以下となる。CT number = 350.47x 嵩密度(bulk density)+49.04 (R=0.99976)この計算式を用いることで、CT値より密度を正確に計算できるようになり、本手法を海洋研究開発機構および共同研究者らと特許出願した(特願2018-128758)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
本科研費にて製作した3Dコンテンツ閲覧ソフトウェア(ビューワー)。無償にて頒布。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Genome Biology and Evolution
巻: 11 ページ: 380-397
doi:10.1093/gbe/evy242
日本機械学会誌
巻: 121 ページ: 18-21
Journal of Molluscan Studies
巻: 84 ページ: 30-37
doi:10.1093/mollus/eyx040
https://white-rabbit.jp/product/oden/