研究課題
計画1)2)モニタリング:瀬戸内海西部沿岸干潟域において計47検体を採水した結果、過去2年の調査と同様NNIは農薬頻用期(6-9月)に高頻度かつ高濃度で検出された。計画3)NNIの毒性を裏付ける特徴:7種NNIの海産甲殻類3種毒性試験の結果から、毒性値と各NNIの物理的性状(Log Kow)の間には負の相関、すなわち親油性が高い物質ほど毒性が強いことが分かった。計画4)感受性の種間差メカニズム:①RI標識NNIを用いた体内動態分布の種間比較: RI標識したNNI毒性試験で得た個体でパラフィン切片を作成し、遮蔽箱中で21日間露出後、イメージングアナライザーで画像を取得した。得られた画像から放射線強度を数値化し統計解析に供したが、両種の体内分布の差異の検出には至らず、体内分布に差がないことが分かった。②アセチルコリンレセプター(AChR)の種間比較:海産アミのAChR結合部位のLooP D領域の配列を調べた。その結果、クルマエビ、エビジャコと同様、陸上昆虫で報告されている高感受性種の配列と一致しており、当該領域の配列からは、調査対象の海産甲殻類3種はいずれも高感受性種に分類されることが分かった。③代謝酵素の関与:薬物代謝に関わる酵素阻害剤とNNIを混溶させ曝露した結果、クルマエビでは阻害剤の有無で生存に差はなかったが、エビジャコでは酸化酵素阻害剤との共曝露で死亡率が有意に増加した。よって、両種の感受性差には、酸化酵素の関与が強く示唆された。計画5)生態リスク評価:本研究で調査した計193検体の採水分析結果を用い、複数のNNIsが混在する実環境下での予測影響割合を試算した。その結果、クルマエビ0.7%、エビジャコ0.03%、アミ0.8%と算出され、最大1000尾中8尾(0.8%)が影響を受けていると試算されたものの(アミ)、そのリスクは検出できないほど低いことが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本甲殻類学会誌
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Environmental Pollution
https://doi.org/10.1016/j.envpol.2019.05.067