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2017 年度 実績報告書

魚類卵膜軟化症の発症・促進機構の解明に基づく防除技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 16H04964
研究機関北海道大学

研究代表者

笠井 久会  北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (50399995)

研究分担者 酒井 隆一  北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (20265721)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード卵膜軟化症 / サケ
研究実績の概要

卵膜軟化症は,サケ増殖事業における卵期の主な減耗要因の一つである。本年度は,原因細菌の特定を目指し,卵膜軟化症の発症卵および未発症卵の卵膜に付着する微生物群集構造の比較を行うことで,病卵に特異的な細菌の検出および細菌叢の変遷を解析した。その結果,卵膜軟化症の発症以前には8.8%にしか満たなかったFlavobacteriaceae科に属するものと推定されたOTUが,発症後の卵膜では65.3%を占めるまでに増加し,その92.3%が同一のOTUに帰属することが明らかとなった。病卵で優占している特定のOTUを検出することができたため,病卵から抽出した核酸のクローニングにより,16S rRNAの全長配列を取得し,系統解析に供した。その結果,本菌は Flavobacterium psychrophilumに96.2%,F. swingsiiに97.4%の配列類似性を示すことが明らかとなった。病卵に優先しているOTUは,卵膜軟化症未発生の施設においてもわずかにその存在が検出された。すなわち,卵膜軟化症の原因となる細菌は,その数こそ多くはないが飼育環境水中に普遍的に存在し,特定の条件下でサケ卵に病原性を示す,条件性細菌であることが示唆された。さらにその細菌は卵膜外層の密な構造を溶解する特殊な酵素を産生するが,臍嚢や卵黄膜を溶解することはなく,卵膜軟化症により早期にふ化した稚魚は何ら異常なく成育することから稚魚への病原性を持たないものと推察された。今後,卵膜を溶解する細菌の代謝物の特定や,代謝物による卵膜溶解のメカニズムを明らかにすることで,より効果的な防除技術の確立等に発展するものと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

卵膜軟化症発症卵で優先する細菌について16SrRNA遺伝子の塩基配列等に関する新規の知見を得た。得られた情報は,原因菌の分離培養を目指す上での指標となる。

今後の研究の推進方策

研究はおおむね順調に進展しており,当初計画の通り研究を推進する。今後は,卵膜軟化症の予防効果が期待される各種薬剤の効果について検討を進めることで,薬剤の特性や化学構造から本病の抑制機序を推定する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] サケ資源を安定的に維持するための防疫対策2018

    • 著者名/発表者名
      笠井久会,吉水 守
    • 雑誌名

      日本水産学会誌

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

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公開日: 2022-12-28  

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